東北大震災@


1 東日本大震災プロローグ(平成三陸沖津波原発地震)

2011年平成23年3月11日14時46分三陸沖で観測史上最大のM9.0震度7の巨大地震が発生し、岩手、宮城、福島を中心として地震、津波、火災の災禍に見舞われ甚大な被害を受けた。
この地震の呼称は当初、東日本大震災、東北地方太平洋沖地震、東北関東大震災と言われ統一されていなかったが、4月になり東日本大震災が正式な名称になった。

三陸に関わる地震は明治29年(1896年)M8.5震度3で大した地震でなかったが大津波が発生した。昭和8年(1933)M8震度5、これも大津波が発生し甚大な被害を与えた。東日本大震災との違いは建物の耐震化が進み地震のM9.0,震度7でも意外に甚大な被害はなかった。
仙台の知人は地震が来る来ると震災時の生活必需品を確保し、それなりの対応をしていたので被害は少なかったと言っている。ところが人間の考の及ぶ範囲を超えた10m以上の津波が海岸近くの市街地を根こそぎさらい、あっという間に一面を木っ端微塵にして甚大な津波被害をもたらした。

さらに津波は福島の第一原子力発電所に襲いかかり(推定 震度5強 津波の高さ17m)、想定外の巨大地震は原子炉の電源施設を破壊して、冷却機能を不能にした。その結果、水素爆発で建屋は吹っ飛び、使用済み燃料の一部、原子炉の燃料の一部は融解し、空気中に海洋中に放射能を拡散させてしまった。世にいう原発災害事故が起き、世界が注目するなか、国をあげて災害事故の収拾に当っている。

このドキュメントは地震発生の3月11日から3月31日までのマスコミ報道を中心に私見を交えたもので、特に写真等は大変失礼ながら無断複写転写をしています。不都合の申し出があれば削除をします。



2 地震発生前の政情

2008年の世界同時金融不況、俗にいうリーマンショックから3年を経ても、今だに景気はもたついている。経済界においては、米国の景気回復の需要があり、依然として衰えない中国の景気に支えられて、日本の経済は踊り場から脱出の機運があった。

【図1:日本の平均株価 ヤフー ジャパン(ファイナンス)】
地震による株価大暴落




日本経済界はグローバル化の中で生き残りの戦略をとり、選択と集中の経営方針で企業の統廃合や合併などの合理化をしていた。マーケットはこれを評価して株価は上昇気味となった。しかし、中小企業は総体として著しく低迷をしている。
景気低迷は大卒の内定率が物語っている。平成23年度の新卒大学の内定率は2月1日現在のサンプリング調査(文科省、厚労省)で、大卒 男 78.9%(前年 81.5%)女子 75.7%(前年 79.9%)である。
桜の季節、希望にふくらむ卒業式は、社会を明るくする年中行事でありながら、社会に出発できない若者が多数いることは残念である。

民主党は2009年8月、自民党政権を奪回した。この政権の誕生で最も危惧したことは、党の綱領を持っていないこと、労組派、市民派、人権派の集団が支持母体であること、自由経済の最も重要な国際競争強化の企業支援に積極性がないこと、政治が未熟であること、政治の動機がないため、党内の政争に明け暮れ、良き指導者がいないことである。
綱領は党員が団結して実現する国家目標である。これをマニフェスト(政権公約)なるもので代替して、責任を負わない公約で選挙民を欺くことは犯罪と同じである。案の定、民主党政権は国民に公約したマニフェストを次々と反故にした。

【表2 民主党マニフェスト 産経(2月10日)】


民主党は労働組合や市民派などを支持基盤とする政党組織で、自治労(地方自治体労働組合)、日教組(日本教職員組合)、連合(自治労、日教組、日本の労働組合がほぼ加入する日本労働組合総連合会)の支持政党で、政治目的の異なる労働組合により憲法、国防、自衛隊、教育などの基本方針が定まらない曖昧な状態になっている。
労働組合は潤沢な組合費がある限り強固な保守的組織で改革は期待できず、上位下達の労働貴族に支配される。かってはこの労働貴族は組合費を放蕩した例もみられる。市民派の政治活動の特徴は、政権が掲げる政治的要求に反対し正義を掲げて、同調する集団を作る。このような政権基盤の政党は国難を背負い国民の信託に答えることは決してできない。

民主党の初代の総理大臣は献金疑惑の鳩山由紀夫(期間2009年9月16日〜2010年6月2日)で、その後を引き継いだ総理大臣は管直人であった。
鳩山首相は死亡者をあたかも生存者として政治献金を集めていた偽装献金あった。実母からの7年間,総額11億円の贈与があり、贈与が偽装献金のう回資金となった疑惑と実母からの贈与税を無申告にした脱税があった。また沖縄の普天間飛行場の移設先を「最低でも県外」としたが断念をして退陣した。

管首相の国民の審判は2010年7月11日参議員選挙で行われ、民主党は大敗をして自民党が多数を占め、衆議員は民主党が多数を占めている、与野党のねじれ国会となった。「日本の総理大臣がころころ変わるのは良くない」と言聞かせ、解散や総辞職をせず任期を貫くと力説した。良識ある国家の指導者は、政権運営が行き詰まり、国民の信託に答えることができなければ責任を負い、解散または辞任を下す事が議会民主主義である。管首相はその意味で国民の信任から遊離した首相で、続投が続く限り百害あって一利なしの政権である。2月の管内閣の支持率は20%を切り、国民からは死体としてみられている。

【図3 間内閣支持率 産経(調査日 2/26,27)


(2017年3月20日掲載)